紆余曲折の末に開催されたアースデイ愛知2008 (JANJAN記事)

Ainu_puyarA2008-04-30


Esaman2008/04/30
2006年のアースデイは長い時間をかけて準備しました。大きな成果を残しました。ただ、万博協会や企業のテコいれへの対応の違いなど、いろいろな問題もありました。結果として、2007年は大規模イベントを志向する人たちが久屋大通公園で東京のような大きなイベントとしてのアースデイを、万博はもういいや、という人たちが名城公園で物々交換市を開催、というように2つの会場にわかれて開催されました。

http://www.news.janjan.jp/area/0804/0804290049/1.php

フリーマーケット会場の様子。
目次
P1.アースデイが分裂? 愛知県に2つのアースデイ
・『増殖』した2008年のアースデイ
P2.久屋大通り公園のアースデイで、LOVE&ビンボー大作戦が展開される
・アーティスト、神野文彦さんによるライブペインティング
・『地球環境について行動する日』であるアースデイ

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アースデイが分裂? 愛知県に2つのアースデイ
 愛知ではアースデイは、2004年から開催されています。それ以前にもアースデイが開催されていたようですが、毎年開催されていて、人のつながりがある程度継続されている、という意味では、いまの流れは2004年から始まっているのですが、人や立場によって違うようです。

・アースデイの提唱者・デニス・ヘイズ氏へのインタビュー
・増殖中!? アースデイ愛知2008について
・アースデイ愛知 2007・アースデイ愛知 2006
・アースデイ愛知 2005@EXPO・アースデイピクニック 2004@鶴舞公園

LOVE&ビンボー大作戦のブース。確かに自転車の通路が目前にあって会場から遮断されている。
 たとえば、万博協会や企業は、2005年の万博が残したソフト面としての成果として、愛知にアースデイ運動を起こした、という宣伝をしていますし、2005年に万博会場に2004年の関係者を招いてアースデイを開催した万博協会には、そのような意図があったようですが、これは事実とは異なります。愛知県の大企業が大規模イベントとしてのアースデイにイメージアップ戦略やビジネスとしての興味をもった年、という意味では2005年は始まりかもしれません。また、万博後の2006年におこなわれたアースデイは、万博に反対、あるいは継承しなくても良いという人たちと、万博に賛成、万博を継承しようという人たちが協力して、とても大きな労力をかけて、かなり大きなイベントになったことから、2006年から参加した人も多く、それを出発点と感じる人はすくなくないようです。

 2006年のアースデイはかなりの人数の人たちが参加して、長い時間をかけて準備したもので、大変ではあったが大きな成果を残しました。万博協会や企業のテコいれへの対応の違いなど、いろいろな問題もありました。その結果として、2007年は大規模イベントを志向する、どちらかというと万博が好きな人たちが久屋大通公園で東京のような大きなイベントとしてのアースデイを、小さなことを大切に、万博はもういいや、という人たちが名城公園で物々交換市を開催、というように2つの会場にわかれて開催されました。

 このようにな経緯をみていると、もともと地域で開催されていたアースデイを、万博のソフト面の成果として取り込もうとしたことによって、見事に分裂してしまっていると、捉えることも可能です。

『増殖』した2008年のアースデイ
 このような経緯があり、2008年のアースデイの開催は非常に危ぶまれていました。2004年からアースデイを開催している人たちの間では、アースデイは毎年実行委員会を組んで、通年の事務局をおかないことになっています。これは、アースデイは4月21日前後におこなわれるイベントの総称であり、実態としては記念日に近いものなので、どこかがアースデイの『元締め』になるのはよくないことであるという考えによります。2004年の時点で、来年に控える万博が、もともと万博に賛成の人も、反対の人も、いろいろと話し合いながら一緒に参加している愛知のアースデイを分裂させる恐れがあること、また、万博に関連した部署が愛知のアースデイの事務局になるという最悪の事態を避けるために、毎年実行委員会は解散して、相互のネットワークを維持することを通年の課題にしたためです。

アースデイあいちnetとは?


LOVE&ビンボーの寄せがき。『アースデイあいち2008LOVE&ビンボー大作戦』『愛と貧窮の大行進』の文字がみえる。
 2005年、2006年、2007年と、このネットワークが活用されてアースデイの準備の呼びかけがおこなわれましたが、2007年の分裂の余波でしょうか? 呼びかけはおこなわれず、どこで誰が準備をしているのか、どうすれば実行委員会に参加できるのか、ということが不透明なまま、4月を迎えました。そうして、万博のような大きなイベントを無理してつくるのはどうか? と考える人たちが反貧困ネットワークと協働して形成した『LOVE&ビンボー春祭り、アーズテイあいち2008(スローガン・環境と貧困は地球規模の大問題!! このままの世界はイヤン!! 会場・若宮大通公園)』と、大学生が企業などに呼びかけて作った『すべてのいのちがつながるひ、アースデイ2008)(スローガン・これから先もずっと一緒、おしゃれこで、楽しく生きる 会場・久屋大通公園)』の2つが、開催間近になってから、お互いの存在に気がついて、大混乱がおきる、という一幕もありました。

 とくに、過去に愛知にアースデイがあったことを、意図的にか、よく知らされていなかった、学生の実行委員の人たちは、相当な混乱が発生していたようです。久屋大通公園アースデイは、ホームページが直前になっても公開されていなかったり、問い合わせをしても反応がないなど、かなり大変であったようです。そこで、久屋大通公園アースデイ若宮大通公園のアースデイの実行委員が相談して、お互いのアースデイは設立経緯が違うだけで別のものではあるが、お互いに、なんらかの原因で、存在自体を全くしらなかっただけで『分裂』しているわけではないので、できることは協力しましょう。これは『分裂』ではなくて『増殖』と考えるのがふさわしいでしょう、ということを確認して、アースデイ当日を迎えました。

 また、2つのアースデイの連携のために、急遽、19日20日の久屋大通り会場にLOVE&ビンボー春祭りの企画を出店して、27日の若宮大通公園で使用する横断幕を作成して、みなさんで寄せ書きをしてもらうことになりました。『分裂』というのは、もともとひとつであったものが2つにわかれることをいうので、今回の出来事を『増殖』ととらえる姿勢は、いい得て妙です。
4/27の大行進で使用する秘密兵器『ねこなまず』を作成中。 広告代理店エリア。一日中ワークショッブかゲームのようなものをしていた。 学生実行委員会エリアにあるステージ。やや閑散としている。
学生実行委員会エリア。 ステージでのバンド演奏。徹夜の疲れが出たのでしょうか? 急遽飛び入りでイベントを取り仕切った『まつりチーム』スタッフが寝ています。 まつりチームのエリア。テントをつなぐカラフルな小旗がチベット寺院のような感じを出している。

久屋大通り公園のアースデイで、LOVE&ビンボー大作戦が展開される
 4月19日、20日の両日、名古屋の中心部、栄にある久屋大通公園で『すべてのいのちがつながるひ、アースデイ2008〜これから先もずっと一緒、おしゃれこで、楽しく生きる〜』が開催されました。

 会場はおおきく3つのエリアに分かれています。ひとつは一番南のエリアでフリマーケットの会場となっています。真ん中のエリアは学生が多く出店する場所で、ステージがあります。北側のエリア、名古屋の中心部に近いほうの場所は『まつりチーム』の有志のみなさんのエリアです。『まつりチーム』とは、学生主体の実行委員で開催があやうくなっていたのをみて、直前になって急遽参加することになった社会人中心の人たちです。

 もうひとつのアースデイである、LOVE&ビンボーのスペースは、当初学生エリアにあったのですが、すぐに『まつりチーム』のエリアに移動したとのことでした。LOVE&ビンボーのスタッフによると、主催者側の不手際のために、、LOVE&ビンボーのライブペインティングの場所は、会場を隔てる形で、自転車試乗のコースが設置されていて、非常に困ったとの事でした。『今回の学生の実行委員は事態を把握していない人がおおい。また急遽参加することになった『まつりチーム』の代表者は好意的なので、この配置は主催者側の悪意によるものではなく、単純に不手際によるものと思う』とのことでした。

 真ん中の学生エリアには、電動補助自転車試乗コーナー、マイ箸コーナー、廃材から作った雑貨の販売などが行われていました。『アラウくん』という、食器洗浄車がきていて、会場で使われているリユースカップを洗浄していました。この機会は、1時間に200個のリユースカップを洗浄する能力があるもので、なんと1日1000円で借りられるものです。ですがボランティアスタッフの方の話によると『朝の7時からきているけども、機械の不調が続いて大変。手で洗ったほうが早いかもしれない』とのことでした。今回のアースデイの人の集まり方では、そのとおりかもしれません。もっとおおきなイベント向きでしょうか。それでも1000円で食器つきで借りられると言うのはすごいですね。

 北側のエリアの、広告代理店の管轄するエリアでは、終日、環境やリサイクルに関連するゲームのようなものを開催していました。『まつりチーム』のエリアは、中心にLOVE&ビンボーの寄せ書きのライブペインティングがあり、フェアトレードの店、マッサージの店、アーティストの店、自然食品の店などが立ち並び、もっともニューエイジっぽく、アースデイっぽい雰囲気のあるエリアだったと思います。このエリアにはステージこそないものの、中国獅子の演舞、もちつきなどもおこなわれていて、たいへんにぎやかでした。

 また、ひょっとするとチベットへの連帯の意味をこめたものでしょうか?それぞれのテントが、色とりどりの小さな旗で結ばれていて、チベットの仏教寺院のような雰囲気が演出されていました。

アーティスト、神野文彦さんによるライブペインティング
 『まつりチーム』のエリアに移動したLOVE&ビンボーのスペースには、アースデイあいち(http://earthday-aichi.net/)の演出を担当しているアーティスト、神野文彦さんによるライブペインティングがおこなわれていて、完成した『愛と貧窮の大行進』『LOVE&ビンボー大作戦』とかかれた横断幕に、家族連れや子供達が、色とりどりの画材で絵を描いたりメッセージを書いたりしていました。このほかにも、大行進で使用する予定の秘密兵器『ねこなまず』の作成や、ブルーシートティピーの作成などもおこなわれていました。会場で作成した寄せ書きは、4/27の会場でも使用して、奇しくも『増殖』してしまっている愛知のアースデイの連携をはかるそうです。

 広告代理店の管轄するエリアは、テントの飾りつけなどは地味だったのですが、環境についてのクイズなどを、実際に地面に矢印をおいて動いて選択するクイズのようなものや、ワークショップのようなものを、若い人たちが、一日中やっていました。2日目はかなりの暑さになっていたのですが、それでも一日中やっていたので、大変そうでした。

 メインステージでは、急遽出演することとなった、名古屋を代表するタレント、矢野きよ実さんが話をしていました。学生の実行委員たちが出運依頼にきたときのことを『あんたたち、こんなおおきなイベントを企画するときは、もっと早くにはじめなあかんよ、といったら、泣くんだわ』などと、ラジオでいつも聞くあの調子で、名古屋弁でおもしろく紹介していました。

 また、ステージで紹介される『愛知のアースデイ』は、主催者の意向なのか、代理店の意向なのか、司会者の個人的な見解なのか、わかりませんが『愛知万博の理念を継承してはじまった愛知のアースデイは……』という紹介のされかたをしていました。2004年にアースデイをはじめた人たちや、2005年に万博会場内でのアースデイに協力してくれた反対派の人達や、『万博後』の2006年のアースデイを作った人たちが聞いたら、鼻血を出して怒りそうな内容です。もっとも、これはそのような人たちがこの場にいないから成り立つ紹介の仕方なのですが、なんだか非常に奇妙な感じがしました。

 19日、20日と2日間に渡って開催された久屋大通り公園のアースデイは、大きなトラブルもなく、無事終了した模様です。久屋大通り公園のアースデイは、大きく3つ、管轄でわけると4つの会場に分かれていたのですが、それぞれの会場で雰囲気や出ている店が全く違い、それぞれ、ほんとうに同じイベントの会場なのだろうかと思うほどでした。

 今回の主催者であるはずの学生の実行委員の人達は、対応が全くできていない部分が多数あり、非常に『困った』話でした。また、久屋大通公園の学生スタッフのみなさんは、過去に愛知にアースデイがあったことや、いろいろな経緯を知らされていなかった割に、昨年の余剰金やインフラなどを中途半端に渡されていて、背後になんらかの意図を感じます。

 ある程度事情を知る人の話によると『今回、あつまった学生達は、意図的に知らされていないことも多いけど、周囲の『大人』の中に、過去の愛知のアースデイ関係者と関わらないように、といっている人がいるようだ。そういう意味では学生も被害者といえる』とのことでした。また、昨年も関わった人の話によると『ことしは協力しないように、という話がきいている』との話もありました。

 愛知県で『愛知万博の理念を継承するアースデイ』の通年の事務局の設置を、という話も、万博以降、毎年チラホラ聞かれては、消えたりしています。具体的には、2007年の久屋でアースデイをおこなった人たちが、そのようなことを言っていたのは記憶に新しい話です。ですが、忘れてはならないのは、愛知では万博以前からアースデイは存在していましたし、アースデイ愛知万博よりも古い活動です。また『愛知万博の理念』というのも、曖昧模糊としていてよくわからないのも事実です。

 いま『環境問題』というと、企業もイメージアップにつながる課題なので積極的に資金を投下します。かなり大規模なイベントになってきているアースデイもまた、企業戦略として有効になってきているのでしょう。とくに、愛知県では、興行的には大成功を収めた『環境万博』絡みのお金も相当額存在していますので、潜在的には、かなりの額のお金が動く可能性があるのは確かなことだと思いま
す。

『地球環境について行動する日』であるアースデイ
 この日ぐらいは、普段は出かけない環境関係のイベントに出かけてみる、というのは、非常にいいことだとは思いますが、そのイベントは、誰がどのように開催したのか?などなど、社会の認知も参加者もおおくなり、また、いろいろとテコ入れしたい人たちも増えてきている現在、その背景や設立経緯は、きちんと洗う必要があるように思います。また、当初の理念から考えれば、イベントででかけなくても、アースデイは楽しめるものだ、ということも忘れてはいけませんね。

・増殖中!? アースデイ愛知2008について
・アースデイ愛知2008すべてのいのちがつながるひ〜これから先もずっと一緒、おしゃれこで、楽しく生きる〜・アースデイあいち2008LOVE&ビンボー春祭り〜環境と貧困は地球規模の大問題!! このままの世界はイヤン!! 〜


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